米とタロイモが交わり始まる発酵の醍醐味。儚き微生物のありがたみ。

 巨大な蒸し釜に運ばれたタロイモは、やがて薄紫色の半ペースト状になって姿を現す。ほろほろと崩れるサツマイモに比べ、タロイモは非常に粘度が高い。これを既に米麹を仕込んである甕に移すわけだが、ステンレスの容器に粘りついて作業は決して容易でない。粘度以外にもさつまいもと違うことは色々とあるが、経験の積み重ねがものを言う。

 米麹とタロイモの混じり合った醪は、やがて荒々しく発酵を始める。マグマのように流動しながら泡立つ姿は、まるでうごめく一体の生き物のようだ。やがてしばし静寂があったと思えば再び激しく流動。これを何度も繰り返す。この間の発酵コントロールこそ、蔵人たちの経験と勘が生かされる仕事の最たるものである。温度、濃度、微生物の反応。そして発酵の進み具合を一つの生き物を育てるように1週間以上に渡り見守る。

十分に発酵が進むと、酵母という微生物は、自ら作り出したアルコールを持って短い生涯と役割を終える。酒を生み出す立役者の命は、実に儚い。彼らの命を無駄にしてはならないと、蔵人もその酒を味わう人も、心して味わえばそのありがたみに一層の旨さを感じるものである。

さて。機が熟した醪はいよいよ蒸留機に収まり、焼酎造りの最終段階に入る。

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