麹(こうじ)が奏でる味わいの礎。③香りの”黄麹”魅力と特徴。
焼酎において「黄麹」をメインに使う焼酎蔵は皆無だろう。同時に、日本酒蔵で「黒麹」「白麹」をメインに使う酒蔵は極々少数と言って良い。なぜかと言えば、焼酎造りも日本酒造りも美味い酒を造るための”慣例”が大切で、”伝統”を引き継ぎ守る矜持があるからである。しかし、平成から令和に移った世において多様性を楽しむというムーブメントにおいてはその垣根は取り払われ、”焼酎かくあるべき”という議論とは別のステージにおいて、それぞれの酒のシーンは、新たな広がりを見せている。
ここ数年、”香り系”と呼ばれる芋焼酎が酒場や酒売り場を賑わし始めている。香りを醸す要素は”酵母”であったり”麹”であったり様々であるが、”黄麹”を使った芋焼酎は、総じて香りが良いという特徴があると言われている。
”黄麹”と呼ばれながら、実際の色は薄めの黄色味かかった緑色。写真には、敢えてAIが示した”黄麹米”を載せてみた。令和7年時点、発展途上の生成AIもちゃんとそのカラーを体現してくれた。
2023年の仕込みから、KALOも黄麹の仕込みにトライすることになった。黒麹・白麹に比べ、焼酎どころ鹿児島では少々高価な麹であるらしいが、”宇宙酵母”や”ゴジラ・ラベル”など数々なチャレンジングなアイテム作りに積極的な神酒造では、首を横に振られることがなかったのが幸いだ。そして同時に、江戸時代から日本酒造りが真骨頂の長野・千曲錦酒造では、日本酒作りに使われる”黄麹”を用いることはむしろ得意分野。
こうしてKALOというタロ芋焼酎ブランドが、2つの蔵で黄麹の焼酎を生み出せたことは、幸運としか言いようがない。
黄麹らしく華やかな味わいと香りは、両蔵の造りで存分に発揮されている。
焼酎蔵・神酒造の”MAUPOPO 2023”は、他ラインナップと一線を画す香りの強さと、少しピリッとしたようなキレのある味わいが特徴だ。22°の”LUANA” 2023はキレこそ加水で穏やかだが、その香りとシャープな味わいが印象に残る。
長野・千曲錦のPURE MUSICにおいては、まさに日本酒の吟醸香さえ感じられ、”BARREL” ”BARREL + MUSIC”においては樽香の奥に、品の良い黄麹由来のクリアで華やかな香りが後ろ支えをしている。
王道から離れすぎず、少しユニークで、遊び心ある特徴的な酒を愉しみたい時の選択肢は、やはり黄麹一択だろうか。