長野の地で、華やかな香りが知らせる新たなる酒の誕生。

ある夏の日。大量の醪(もろみ)が、すっぽりと大きな蒸留機に収まった。

蒸留機とその周辺が、にわかに熱を帯び、音を上げる。

和やかに蒸留の説明をしてくれていた蔵人たちの表情が、”ON”に切り替わる。

計器の針を見つめ、バルブを開け閉めし、せわしなくその作業は進んでゆく。

「もうそろそろですね。」

その僅か10数秒後。睨んだパイプの先から、最初の一雫が垂れた。

やがて、封を切ったように、透明な液体がとめどなく流れ出始め、蔵の中に華やかな芳香が広がる。

最初のアルコール度数は、60°を超えているという。

透明な液体をたたえたタンクに顔を近づけると、フワッと揮発するなんとも言えぬ華やかな香りも心地よく、鼻腔をくすぐる。

ハワイをルーツに持つ本格焼酎が初めて、浅間山を仰ぐ長野・佐久の地で産声を上げた。

涼風が時折蔵を吹き抜け、雄大な浅間山の逞しい夏雲が佐久盆地の四方に広がる美しい季節の午後だった。

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